必要な生命保険料をシミュレーション ~生命保険見直し③~

以前解説した遺族年金の受給額を基に、どれくらい死亡保障が必要かシミュレーションしてみましょう。

まず、おさらいとして遺族基礎年金の受給額は
 受給金額 = 831,700円 + 子の加算額
 子の加算額 = 239,300円 × 子の人数(2人まで) + 79,800円 × 子の人数(3人目以降)
と、なっており、遺族厚生年金の受給額は
 ①受給金額(年額) = 標準比例報酬 × 3/4
 ②標準比例報酬 = 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入期間の月数
 ③平均標準報酬額 = ( 標準報酬月額 + 標準賞与額 ) ÷ 加入期間の月数
 ただし、②加入期間の月数が300月(25年)未満の場合は300月でカウントします。
 ※ただし平成15年4月以降に加入した場合
と、なっています。

モデルケースについて

世帯主は、ぼく自身を想定してシミュレーションします。(結婚してないけど)

  • 世帯主:37歳会社員・男性
  • 配偶者:30歳会社員・女性
  • 第一子:世帯主39歳で出生
  • 第二子:世帯主41歳で出生
  • 世帯主の標準報酬月額:280,000円

これらと過去のデータから昇給率や賞与支給額を予想して計算しますと、生涯で得られる収入は約2億円となります。(平均程度)

受給できる遺族年金の額は?

世帯主が45歳で亡くなった場合

この時、妻は37歳、子供が6歳と4歳となり、遺族基礎年金の受給額は
 第一子が18歳までは
  ( 831,700円 + 239,300円 × 2人 ) × 13年 = 17,033,900円
 第一子が要件を満たさなくなってから第二子が18歳までは
 ( 831,700円 + 239,300円)× 2年 = 2,142,000円
よって合計で、19,175,900円となります。

また、この時までの報酬比例部分は約620,000円なので、遺族厚生年金の受給額は
 620,000円 × 3 / 4 = 465,000円
配偶者が85歳まで生存したとして
 465,000円 × 48年 = 22,320,000円
よって、遺族年金の合計額は41,495,900円となります。

さらに、40歳~65歳までの子のいない妻は623,800円加算されます。これを中高齢寡婦加算といいます。
今回のケースでは妻が52歳の時に子供が遺族基礎年金の要件を満たさなくなっているので、13年間受給できます。よって、中高齢寡婦加算の受給額は
 623,800円 × 13年 = 8,109,400円
となります。
したがって、合計金額は49,605,300円となります。

世帯主が55歳で亡くなった場合

この時、妻は47歳、子供が16歳と14歳となり、遺族基礎年金の受給額は
 第一子が18歳までは
  ( 831,700円 + 239,300円 × 2人 ) × 3年 = 3,930,900円
 第一子が要件を満たさなくなってから第二子が18歳までは
 ( 831,700円 + 239,300円)× 2年 = 2,142,000円
よって合計で、6,072,900円となります。

また、この時までの報酬比例部分は約880,000円なので、遺族厚生年金の受給額は
 880,000円 × 3 / 4 = 660,000円
配偶者が85歳まで生存したとして
 660,000円 × 38年 = 25,080,000円
また、中高齢寡婦加算は
 623,800円 × 13年 = 8,109,400円
となるので、合計受給額は39,262,300円となります。

世帯主が60歳で亡くなった場合(退職直前)

この時、妻は53歳、子供が21歳と19歳となり、遺族基礎年金の受給要件は満たさないので、遺族基礎年金の受給はありません。

また、この時までの報酬比例部分は約1,100,000円なので、遺族厚生年金の受給額は
 1,100,000円 × 3 / 4 = 825,000円
配偶者が85歳まで生存したとして
 825,000円 × 33年 = 27,225,000円
また、中高齢寡婦加算は
 623,800円 × 12年 = 7,485,600円
となるので、合計受給額は34,710,600円となります。

遺族にいくら残すか?

これに関しては各々のライフプランで異なってくると思います。
今回は教育費+住宅費を考えてみます。

まず教育費についてですが、個人的な意見ですが、子供には親の収入の都合で進学を諦めて欲しくないので、高校・大学は私立の場合を想定します。

  • 幼稚園(公立):年間約17万円・3年間
  • 小学校(公立):年間約35万円・6年間
  • 中学校(公立):年間約53万円・3年間
  • 高等学校(私立):年間約105万円・3年間
  • 大学(私立):年間約140万円・4年間

次に住宅は生涯賃貸と考えます。
これには色々考えがあるのですが、今回は家賃8~9万円のアパートを想定します。
この場合、年間約100万円になります。
少し高めに設定しているところもありますが、今回はこれで算定します。

世帯主が45歳で亡くなった場合

この時、妻は37歳、子供が6歳と4歳となり、教育費は
第一子が小学校6年間、中学校3年間、高校3年間、大学4年間で1,244万円
第二子が幼稚園2年間、小学校6年間、中学校3年間、高校3年間、大学4年間で1,278万円
家賃等は妻が85歳まで暮らしていると仮定して、4,900万円
(おそらく、途中で一人暮らしになるので少し抑えられると思います。)
よって、合計で7,422万円となります。

このケースでの遺族年金の受給額は4,960万円なので、必要金額よりも2,500万円程不足します。
死亡保障で2,000万円補い、貯蓄が500万円あれば間に合う計算です。

世帯主が55歳で亡くなった場合

この時、妻は47歳、子供が16歳と14歳となり、教育費は
第一子が高校3年間、大学4年間で875万円
第二子が中学校2年間、高校3年間、大学4年間で981万円
家賃等は妻が85歳まで暮らしていると仮定して、3,900万円
よって、合計で5,756万円となります。

このケースでの遺族年金の受給額は3,926万円なので、必要金額よりも1,830万円程不足します。
死亡保障が2,000万円ならば、間に合うので他の費用の充当できます。
死亡保障を1,000万円とした場合だと、貯蓄を800万円ほど用意する必要があります。

世帯主が60歳で亡くなった場合

この時、妻は53歳、子供が21歳と19歳となり、教育費は
第一子が大学2年間で280万円
第二子が大学4年間で560万円
家賃等は妻が85歳まで暮らしていると仮定して、3,300万円
よって、合計で4,140万円となります。

このケースでの遺族年金の受給額は3,471万円なので、必要金額よりも669万円程不足します。
死亡保障が1,000万円ならば、間に合うので他の費用に充当できます。

最後に

こうしてみると、公的年金の遺族年金がいかに優秀かわかりますね。
荒いシミュレーションでしたが、自分も保険に入りすぎてると思われている方も多いのではないでしょうか?

しかし、公的年金は将来受給できないかもしれないから不安だと思う方もいると思います。
これは、現役世代が納めた年金保険料が現在の年金受給対象者に支給されている仕組みが取り上げられているからだと思います。
実際には公的年金の財源は①保険料収入②税金③積立金から成り立っていて、③の積立金は将来世代の年金給付を補うために使われます。したがって、現在の年金制度は破綻しないように設計されています。おそらく保険会社が破産する可能性の方が高いと思います。(破産しても全額失われることはありません。)

ただし、今回は会社員を想定してシミュレーションしましたが、フリーランスなどの厚生年金に加入していない方は、遺族厚生年金を基本的には受給できません。また、子供のいない方は遺族基礎年金も受給できません。
したがって、フリーランスなどの方々は民間保険で補う必要があるのでその点はご了承ください。

以上のように、民間の生命保険で必要な金額というのは各々のライフプランで大きく異なってきますので、皆様も現在の家庭状況を把握し必要な死亡保障の金額を見積もってみてはいかがでしょうか?

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