保険を見直す ~死亡保障②~

生命保険のうち死亡保障は被保険者が死亡した際に配偶者や子に支払われる保険です。
その際に、その者たちに残しておきたい金額を見積もる場合は、まず遺族年金がいくら支給されるのか把握しておく必要があります。
以下、遺族年金について調べて分かった範囲について説明します。
誤りがあるかもしれませんがご了承願います。

遺族年金とは

遺族年金とは公的年金制度の一つであり、「①遺族基礎年金」と「②遺族厚生年金」があります。
①の遺族基礎年金とは国民年金から支給されるもので、どなたでも加入しています。
②の遺族厚生年金とは厚生年金から支給されるもので、こちらは会社員、公務員が加入しています。(厚生年金の方は、会社員であっても一定の要件を満たさない場合は、加入対象外です。)
したがって、①遺族基礎年金と②遺族厚生年金の受給額の合計額を見積もり、必要な金額との差額を民間保険で賄うように算定していくとよいでしょう。

遺族基礎年金の受給要件と受給額

日本年金機構のホームページによると、遺族基礎年金の受給要件はざっくりいうと、
「被保険者がちゃんと保険料を納めてればOK」
であり、受給対象者は

  1. 子のある配偶者

となっており、ここで言う子とは18歳までの子供と、障害等級1級又は2級の20歳未満の子供です。

ここでは、受給対象者を子のある配偶者として話を進めていきます。
この場合の受給金額は年額で
 受給金額 = 831,700円 + 子の加算額
 子の加算額 = 239,300円 × 子の人数(2人まで) + 79,800円 × 子の人数(3人目以降)
であり、例えば18歳未満の子供が3人いる場合の配偶者が受け取る遺族基礎年金は
 受給金額 = 831,700円 + 239,300円 × 2 + 79,800円 × 1
      = 1,390,100円
となります。

遺族厚生年金の受給要件

こちらも日本年金機構のホームページによると、遺族厚生年金の受給要件はざっくりいうと、遺族基礎年と同じです。(会社員であれば基本的には未納はないと思います。)
次に受給対象者ですが、受給できる優先順位を付けて表すと

 子のある配偶者 or 子 > 子のない配偶者 > 父母 > 孫 > 祖父母

となっており、各々受給要件等様々ですが、今回は子のある配偶者と子のない配偶者を説明します。

ここで言う子とは遺族基礎年金での場合と同じで、18歳までの子供と、障害等級1級又は2級の20歳未満の子供です。
子のある妻は生涯にわたり、遺族厚生年金を受給できます。
しかし、子のない妻は30歳未満の場合には5年間のみ受給できます。

子のある夫は、子供が18歳以上(または障害等級1級2級の子供が20歳以上)になるまで受給でき、それ以降は60歳になるまで受給停止となります。
子のない夫は、55歳以上の場合にのみ受給可能ですが、支給されるのは60歳からとなります。ただし、遺族基礎年金を受け取れる要件を満たしていれば55歳からでも受給可能です。
夫の場合は複雑そうですが、個人的にまとめると遺族基礎年金を受給できる期間中は遺族厚生年金も受給でき、それ以外の期間は60歳からでないと受給できないってところです。
但し、夫の場合は配偶者(妻)の年収が850万円未満(所得が655万5,000円未満)という条件付きです。

更に、妻の場合は40歳から65歳になるまでの間、中高齢寡婦加算として年額623,800円が受給されます。受給期間を簡単に言うと遺族基礎年金を受給できなくなった期間です。

このように遺族厚生年金は、亡くなった配偶者が夫であるか妻であるかで要件がかなり異なっています。これは今後の法改正で改善してほしいところです。

遺族厚生年金の受給額

こちらも日本年金機構のホームページによると、

 ①受給金額(年額) = 標準比例報酬 × 3/4
 ②標準比例報酬 = 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入期間の月数
 ③平均標準報酬額 = ( 標準報酬月額 + 標準賞与額 ) ÷ 加入期間の月数
 ただし、②加入期間の月数が300月(25年)未満の場合は300月でカウントします。
 ※ただし平成15年4月以降に加入した場合

つまり、標準報酬月額と標準賞与額と加入期間が分かれば算定できます。これらの値は、マイナポータルで日本年金機構と連携することで確認することが可能です。

これらをざっくりとした式にすると、

 受給金額(年額) = 平均年収(控除前、賞与込み) × 5.481/1000 × 加入期間の年数
 ただし25年未満の場合は、25年で計算。

さらに、妻の場合は前項で説明した中高齢寡婦加算で年額623,800円加算されます。

受給金額は要件により異なりますが、今回は平成15年4月以降に会社員になった夫が、65歳未満で亡くなった場合を想定してます。

まとめ

遺族年金には、①遺族基礎年金②遺族厚生年金がある。

遺族基礎年金は子のある配偶者が、831,700円 + 子の加算額 が受給できる。

遺族厚生年金は被保険者が会社員・公務員の場合、配偶者が一定の要件を満たした場合、
平均年収 × 5.481/1000 × 加入年数
受給できる。
妻の場合は、一定の条件下で遺族基礎年金を受給できない期間の間、65歳まで623,800円(中高齢寡婦加算)も追加で受給できる。

民間の死亡保険はこれらの遺族年金を加味したうえで加入するといいでしょう。
次回はぼく個人の場合を想定したシミュレーションをしてみたいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました