まず初めに、企業型DCについて勉強不足だったので、誤った情報を提供する恐れがある場合がございますがご了承ください。
自分の勉強がてら取りまとめたものを、書いていきたいと思います。
企業型DCの種類
企業型DCは大きく分けて、
- 単独型
- 総合型(パッケージ型)
となっており、さらに加入形態ごとに
- 全員加入(マッチング拠出)
- 選択制
- 一部選択制
などと、分かれています。単独型の中に全員加入か選択制か一部選択制があるといった具合です。
単独型と総合型の違いは、運営企業が1つか複数かの違いで拠出者個人には直接関係はないので割愛します。
全員加入(マッチング拠出)は、会社が社員全員の掛金を拠出して、社員は会社が拠出している金額と同額まで拠出することができるものです。
次に選択制は、会社では掛金を一切拠出せず、社員が全額拠出します。その際の拠出元は給与や退職金となっています。
最後に一部選択制は、会社と社員が掛金を拠出するものです。マッチング拠出との違いは、マッチング拠出は加入者自らのお金を拠出するもので、一部選択制は加入者の給与や退職金から拠出するものとなっています。つまり、一部選択制のものは会社から支給されるもの(会社のお金)から拠出されるので、拠出額が給与とみなされず税制面などで優遇を受けることができます。
ぼくの会社では選択制のDCとなっているため、それについての特徴を説明していきます。(DC担当者でなく、勉強不足であるため・・・)
選択制DCのついて(ザックリと)
選択制DCは前項で説明したように給与または退職金から拠出されます。(おそらくほとんど給与?)
給与の一部から拠出されるということで、労使合意や、就業規則・給与規定の改定が必要になります。また、拠出可能枠を給与として受給するか、そのまま拠出するかということで、給与明細には生涯設計手当やライフプラン手当と書かれてあると思われます。そして、その手当額から加入者が拠出額を指定して拠出します。その際の拠出額は、確定拠出年金掛金等の項目で減額されていると思われます。
また掛金の上限は月額で、
企業型確定拠出年金(DC)+確定給付企業年金(DB)+個人型確定拠出年金(iDeCo)=5.5万円
となっており(2024年12月法改正後)、満額掛けたいのであれば会社の担当者へDCとDBの掛金がいくらになっているか調べてもらい、差額をiDeCoに充てる必要があります。
ただし、現在はDCやDBに加入している会社員のiDeCoの月額の上限額は2万円となっています。
また、ぼくの会社だけかもしれませんが担当者に確認したところ、DCの上限額も定められていました。(労使合意や、就業規則・給与規定の都合。または金融商品を販売している保険会社等と会社での契約の問題?)
したがって、満額かけようとした場合でもできない可能性がありますので注意してください。
選択制DCのメリット
選択制DCの場合は、前にも触れましたが給与の一部(会社のお金)を拠出しているので、拠出額は給与とみなされません。
したがって、給与収入に係る公的な徴収額の算定には含まれません。具体的には、所得税・住民税・社会保険料・雇用保険料があります。
所得税・住民税の税制面でのメリットは、
選択制DCで拠出した額が、そのまま所得控除になる
というものです。
給与として支給されてないから当たり前じゃんと思う方もいると思いますが、例えば本来支給されるはずであった1万円が現在の手元のお金にならない代わりに、利息付きで60歳以降で受け取ることができるので、その元本1万円が所得税の計算に含まれないのはかなり大きなメリットです。
ちなみに、iDeCoでも同じく所得控除ができるので、iDeCoを利用している方は年末頃に担当者から配られる保険料控除申告書に記入して、証明書を添付してください。
次に、社会保険料に関するメリットですが、こちらは、
選択制DCで拠出した金額分、標準報酬月額を抑えられる
というものです。これは口述しますがメリットでもありデメリットでもあります。
標準報酬月額って何ぞや?と思う方もいらっしゃると思いますが、これは社会保険料の金額を算定するのに用いられるもので、この標準報酬月額が高ければ社会保険料は高くなるし、低ければ社会保険料は低くなります。おおよそ、月収280,000円の方は標準報酬月額が280千円となります。
ただし、標準報酬月額は定時では9月に変更され、給与が大きく変更になった場合は9月を待たずに変更になります。
この辺の詳しい説明は別の記事で説明しますが、要は選択制DC始めたからと言ってすぐに社会保険料が安くなるというわけではありません。
ちなみに、どれくらい社会保険料が安くなるのかというと、令和7年3月分からの東京都での社会保険料の料率を基にすると、例えば、40歳の方が2万円拠出した場合は、
20,000円 ×(11.50% + 18.30%)÷ 2 = 2,980円
約毎月2,000円低くなりますので年単位で36,000円抑えられるということになります。
次に、雇用保険料に関するメリットですが、こちらも社会保険料と同じように、労働者の負担額が抑えられるというものです。ただし、社会保険料と違い料率が小さいので大きな節約とはなりません。
例えば、令和7年4月分からの一般事業の労働者負担分は5.5/1000となっていますので、20,000円の掛金の場合、毎月110円抑えられます。これは社会保険と違い、その月の給与の金額から算定されるので、選択制DCを始めたタイミングから反映されます。
以上のメリットは、給与から天引きされるものに注目しましたが、選択型DCというものは拠出者が運用する金融商品(預金、保険、ファンドなど)を選んで運用していくもので、運用していくと運用益が発生します。(リスクの高い商品の場合、元本割れする場合もある。)
その運用利益にも本来の投資の場合は、20.315%の税金がかかりますが、確定拠出年金(企業型・個人型)を利用した場合の運用益には税金がかかりません。これはNISAと同じです。
個人的には、長期的にみるとこれが一番のメリットといえます。
選択制DCのデメリット
次に選択制DCのデメリットを説明します。
まずは、「給与の手取り金額が少なくなる」です。当たり前ですが、拠出した金額は将来のキャッシュフローいなるので、給与支給時点でのキャッシュには含まれません。
給与の一部を資産運用に回した結果、月の支出額が収入額を上回ってしまった場合は、まずは家計を見直しましょう。
次に、よく勘違いしている方もいるようなんですが、拠出した金額はすぐには現金化できません。原則60歳以降でないと、受け取ることはできません。
先ほどと同じですが、すぐに使えるお金だと思って予算を組むとパンクする恐れがあるので、まずは支出を抑えて貯蓄を増やす方から始めましょう。
次に、前項でメリットとして説明した社会保険の標準報酬月額を抑えられるというものですが、これはデメリットにもなります。標準報酬月額が抑えられるということは、納めている厚生年金の金額が少なくなるということです。すなわち、年金支給額が少なくなるということです。
ここで、老齢厚生年金や遺族厚生年金の支給額の計算基になる報酬比例部分というものは
報酬比例部分 = 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入期間の月数 (平成15年4月以降)
となっており、これに老齢厚生年金は1倍、遺族厚生年金は3/4倍したものが受給できるます。
仮に賞与が全くない会社で30年間、2万円かけていた場合、平均標準報酬額が2万円ほど下がるので、老齢厚生年金は年額39,000円ほどで、遺族厚生年金は29,000円ほど下がります。ただし、実際は賞与の金額も考慮した平均の標準報酬額で算定されるので減産額はもう少し小さくなります。
選択型DCを利用した場合、抑えられた社会保険料の金額 < 老齢厚生年金の減算額となる可能性もあるので、ここは慎重にシミュレーションした方がよさそうです。
次に、運営管理機関を自分で選べないということです。これは、会社が運営管理機関を指定しているため、選べる金融商品に制限がかかるというものです。
会社指定の運営管理機関だと信託報酬が高いわりに年利もよくない金融商品も多い場合が多々あります。
iDeCoの場合だと自分で証券会社を指定できるので、ネット証券で好きな金融商品を選ぶことができます。ただしこの場合、運営管理手数料は加入者が負担します。
まとめ
掛金の上限額は
DC + DB + iDeCo = 5.5万円
メリットは
- 所得税・住民税が低くなる。
- 社会保険料が低くなる。
- 雇用保険料が低くなる。
- 運用利益は非課税。
デメリットは
- 給料の手取りが低くなる。
- 原則60歳まで引き出せない。
- 年金が減る。
- 良質な金融商品がないかもしれない。
というのが、個人的な意見です。
ぼく個人としては、将来、退職後が不安なので年金額が減るのはかなり痛手です。
かと言って、iDeCoに拠出したくでも会社でDBに加入しているため上限が2万円までとなっていますので、iDeCoの上限2万円の緩和を希望します。
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